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院長ブログ

【個人的備忘録】皮膚科の経口シクロスポリン使用ガイドライン2018. British Association of Dermatologists(2022.06.08更新)

【シクロスポリンによる治療】

○有効性のエビデンスがあるもの:アトピー性皮膚炎、乾癬、慢性特発性蕁麻疹、掌蹠膿疱症、壊疽性膿皮症、ベーチェット病、GVHDなど

○有効性のエビデンスが無いもの:円形脱毛症、DLE、天疱瘡など

【副作用について】

腹痛、嘔気、歯肉増殖症、高ビリルビン血症、高血圧(発生したらシクロスポリンを減薬し、カルシウム拮抗薬など降圧療法をする。難しいならシクロスポリンは中止)、多毛症、ざ瘡、脂質増加、尿酸増加、カリウム増加、知覚異常、腎不全など

*腎毒性について:可能なら最大16週間までの使用にする。

*HBV再活性化の可能性はある。

*クリプトコッカス髄膜炎など重症感染症の報告はあるので注意は必要。

*移植患者ではシクロスポリン治療とHPV感染症のリスクは関連している。

*非悪性黒色腫のリスクを考慮して光線療法と併用はすべきでない。(移植後と高用量の光線治療後の患者を除けば、悪性腫瘍発生リスクは高くなかったという報告がある)。以前に長期間光線療法を受けていた場合にも避けたほうがよい。

*悪性腫瘍治療歴のある場合は避けたほうが良い。

*シクロスポリン服用期間中は、グレープフルーツやそのジュースは全く摂取しないほうがよい。

*ワクチン接種の効果が下がる可能性がある。シクロスポリン使用中や中止後3ヶ月は生ワクチンは避ける。生ワクチン摂取からシクロスポリン再開まで少なくと4週間は空ける。(生ワクチン以外のワクチンについては記載なし)

【開始前スクリーニング】

血圧、CBC、肝機能、脂質、電解質、尿酸値、尿検査、HIV、HBV、HCV、結核、水痘ワクチン未接種なら抗体検査も必要。

小児では感染症スクリーニングは医師裁量で。

【服用方法】

・空腹時または食前に服用する

・ほとんどの試験では朝夕内服で行われている。しかし1日1回投与が毒性・有効性に関して劣るというエビデンスはない。

【モニタリング】

・血圧と血清クレアチニン:最初の2ヶ月は2週毎、以降は毎月測定することを推奨(血清クレアチニン値は筋肉量が多いと腎機能正常でも高めにでることがあり、逆に筋肉量の少ない人の場合は腎障害があっても低値になりうるため、基準値ではなく患者のベースライン値からの変化をみることが重要。またクレアチニン値は変動するため単回の測定値の評価には注意が必要)

・薬物相互作用評価など以外、血中トラフレベルの定期測定は皮膚科では有用でない。しかし投与後2時間後測定は治療反応性の評価に役立つ可能性はある。

【コスト】

・生物学的製剤に比べたらかなり低コストで治療ができる。

【小児】

2歳以上において効果的で忍容性も高い。

小児適応の有無に関係なく、米国、英国、カナダ、スペインなどでは小児のADの免疫抑制剤として最も使用されている(CyA45.2%>MTX29.6%>MMF13%)。フランスではMTX>CyA。

【妊娠】

催奇形性はなさそうだができるだけ使用は避ける。臓器移植後のシクロスポリン使用中妊娠で問題が無かった症例が多い。

母乳に移行する可能性はあるので通常は断乳が勧められる。

【重症アトピー性皮膚炎に対して】

・有効性は成人と小児で類似している。忍容性は小児のほうがよい。長期的安全性はデータ不足。

・推奨投与量:2.5-5mg/kg/日 分1または分2。最大8週間。2.5mg/kgで開始して2週間以内の反応不良なら5mg/kgに増量したり、最重症の場合は5mg/kgで開始するとより早く適切に治療がすすむ可能性もある。

・シクロスポリン中止時にすぐ再燃することもある。これを避けるために隔日投与や減薬など段階的に中止することが推奨される。

・成人の重症ADの寛解導入には、シクロスポリン(2.7mg-4.0mg/kg:6週間)はPSL(0.5-0.8mg/kg:2週間)より効果的だった。

・シクロスポリン2.5mg/kg/日は、MTX7.5mg/週と同等の有効性だった。

*日本では初期投与量3mg/kg、経過次第で0.5-1mg/kgずつ増減。8週間で効果なければ中止。効果があっても12週以内に一旦中止。

*細菌感染症はアトピーの一般的合併症だが、シクロスポリン投与により増加することはあまりなく、掻爬を抑えることにより感染リスクをむしろ下げている可能性がある。

*エリスロマイシンの併用は、シクロスポリンの血中濃度を上げる可能性があるのでモニタリングが必要。

【尋常性乾癬に対して(16歳以上)】

・標準的レジメンとしては、2.5mg/kgを初期投与量とし、1ヶ月で改善しない場合は増量。あるいは重症の場合は5mg/kgで開始するが6週以内に改善みられないか副作用が生じるようなら治療中止。

・体重に関係なく100mg/日朝夕内服と固定したレジメンで、12週以内に80%でPASI50達成(効果としてはもっと欲しいところですが)。単回投与だとさらに早かった。

・初回にシクロスポリン3mg/kgまたはMTX15mg投与16週間で、PASI改善率は同等だった。とはいえMTX投与群は肝障害で投薬中止した数が多かった。他に、シクロスポリン3-5mg/kg群とMTX7.5-15mg群の比較では、12週でCyAの方がPASI改善率が高かった。

・最近のメタアナリシスでは、バイオ治療群(IFX、ADA、UST)の方がシクロスポリン含む他の治療法よりはやっぱり効果は高かった。

・MTXとCyAの併用は各薬剤の投与量を下げることができ、乾癬、乾癬性関節炎で有効な報告もあるが、まだ安全性データに乏しい。

・レチノイドとの併用は有用ではなさそう。

・光線療法との併用はそもそも推奨されていないが、併用例でも相乗効果はあまりなかった。

・ADA、USTとの併用では相乗効果がみられた。

・猫の喘息治療にはシクロスポリン10mg/kgだそうだ。

cf. British Association of Dermatologists guidelines for the safe and effective prescribing of oral ciclosporin in dermatology 2018

 

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