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赤ちゃんのときから保湿剤を毎日しっかり塗っておくと、アトピー性皮膚炎の発症予防になるかも

[2021.09.03]

両親のどちらかにアトピー性皮膚炎があると、子供もアトピーになりやすい傾向があります。どうにかアトピー性皮膚炎の発症を予防できないかという日本での研究があり、生後1週以内から32週まで、一方の赤ちゃんたちには保湿剤(モイスチャライザーとしてこの研究では2eという市販品。ネットで買えます。)とワセリン(エモリエントとして)、もう一方の赤ちゃん達にはワセリンのみを(片方には何も塗らないというわけにはいかなかったようです)毎日塗っていたら、保湿剤を塗った赤ちゃんの角質水分量が多く、アトピー性皮膚炎の発症(4週間持続した湿疹で判断された)が3割程度少なかったというものです。どのくらいしっかり塗っていたかというと、生後3-6カ月くらいの子の全身に1FTUで保湿剤を塗っても1回4g程度ですが、この研究では新生児から1回8g前後塗布しているので、相当たっぷり塗っていることが分かります。また、ワセリンだけを塗っていても効果が無いと言えるわけではありません。
一方、海外では生後2週以降から保湿剤によるスキンケアを行っても、アトピー性皮膚炎の予防効果は認められなかったという報告もありますが、週4回など塗る回数や量が甘かった可能性はあります。また乳児期から保湿剤を頻繁に使用した子ほど3歳までに食物アレルギーや喘息を発症する可能性が高くなるという報告もあります。さらに保湿剤に含まれる防腐剤(パラベン:診療所で処方される保湿剤ほとんどに含まれます)への乳児期からの曝露でアトピー性皮膚炎や喘息発症リスクを高くする可能性も推測されています。2021年版の日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎ガイドラインでは、「現時点においてアトピー性皮膚炎の発症予防に新生児期からの保湿剤外用は一概には勧められない」と、以前よりは自信なさげな記載に変更されています。

熱帯地方では毎日保湿に頑張るよりもほどほどにしていたほうがアトピーの発症率、皮膚感染症発症率が少なかったという研究もあるので、沖縄の夏でも保育園に保湿剤を持たせて頑張って毎日保湿したり、入浴後に暑がっているところに保湿するよりは、汗をかいたらすぐ拭き取っておくなどのほうがお肌にはいいのかもしれません。

cf.1)J Allergy Clin Immunol. 2014 134(4):824-830    2)Lancet. 2020; 395,951-961

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