治りが悪い皮膚炎は皮膚癌のこともある(特に沖縄では)
皮膚が赤くなるのはたくさんの原因がありますが、中には免疫の病気や悪性リンパ腫、皮膚癌のこともあります。特に軟膏を塗っていたけどなかなか治らないという湿疹のような病変は注意が必要です。
そのうちの1つの日光角化症は、日焼けの仲間みたいな病名ですが中高年に多くみられる皮膚癌の早期病変です。名前の通り長年日焼けをしたところに発生しやすく、秋田・長野・兵庫・宮崎・沖縄での比較調査では、沖縄県だけ日光角化症が倍以上多くみられたという報告もあります。
報告によっては、皮膚科専門医であればほとんどの日光角化症は見ただけでほぼ確実に診断できるとか、ダーモスコピーという皮膚の拡大鏡でみれば100%近く診断できる(苺みたいに見えたりする)とか書いてあるのですが、、、、、、私はそこまでの自信がないのでなるべく皮膚の一部を切り取った検査結果も参考にするようにしています。
治療
① 手術(顔面はやりにくい)
液体窒素による凍結療法(痛い、頻回通院が必要。凍結時間が 5 秒以下での完全消失率39%、20 秒以上で83%とか)
② 塗り薬による治療(イミキモド、5-FU軟膏)
補足
手術の治療効果は確実ですが、日光角化症は周囲に再発することも多いため塗り薬による治療が予防効果もある可能性が高いとされます。
イミキモドと5-FU軟膏では、あまり差がないとは言う結果もありますが、最近のオランダの研究で5-FU軟膏を1日2回4週間塗布(ODTでなく)、イミキモドクリームを週3回4週間塗布し、数カ月後に残存あれば2回目の治療を行って1年後の治癒率の比較してみると、5-FU軟膏の治療効果が高かったという報告もあります。5-FU軟膏のほうがイミキモドクリームよりも痛みなど副作用はやや多かったようですが、イミキモドクリームは顔と頭にしか使用できないという制限があり、薬代が5-FU軟膏が290.2円/g、イミキモドクリームが4630円/g(週3回塗布)とだいぶ違います。
参考
1) 皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 有棘細胞癌診療ガイドライン2020
2) Randomized Trial of Four Treatment Approaches for Actinic Keratosis, N Engl J Med 2019