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アトピーの治療

アトピー性皮膚炎は未だに病態がはっきりしない部分も多く、いろいろな治療を受けても完治が難しい方も多い病気です。当院では基本的には皮膚科ガイドラインに沿った標準的治療を行っており、ステロイド軟膏もしっかり使用致します。

新しい治療薬である注射剤のデュピクセント®、内服薬のオルミエント®錠、12歳から服用可能なリンヴォック®錠の導入も当院にて行っています。

ステロイド軟膏の登場から長らく治療法に大きな進歩がなかったアトピー性皮膚炎ですが、以下に挙げるように近年は全く新しい機序の外用薬、内服薬、注射薬が続々と開発され、小児にも徐々に使用できるようになってきています。特に、かゆみで勉強や仕事や睡眠に支障をきたしているような方には良いと思います。

①プロトピック®軟膏:成人用と2歳以上の小児用があります。

②コレクチム®軟膏:成人用と2歳以上の小児用があります。施行中の治験で問題なければ生後6ヶ月から使用できるようになるかもしれません。プロトピックやモイゼルトと異なり、接触皮膚炎を起こすことがあるプロピレンが入っていません。 

 *これらの新しい外用薬はステロイド軟膏よりも長期使用の副作用が比較的安心ですが、使用量に制限があり刺激感を強く感じる方もいます。

③モイゼルト®軟膏:安全性(ワセリンより副作用が出ていない)・効果・使用感(ほとんどヒリヒリしていない)もなかなか期待できそうな新薬です。厄介なのは「妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること」という文言が念のために入れられてしまったところですかね。

④デュピクセント®皮下注:2018年に発売された皮下注射薬です。外用薬のみでは症状のコントロールが難しい方に適応となります。重症のアトピー性皮膚炎の治療薬のなかで、注射という最大のデメリットはありますが現時点では個人的に安全性と効果のバランス面からこれが一番使いやすいと思っています。今のところアトピー性皮膚炎には15歳から使用可能ですが、近々幼児から使用できるようになるかもしれません。そうなると特に重症の小学生には朗報なのですが。

⑤内服JAK阻害薬(バリシチニブ、ウパダシチニブ、アブロシチニブ):これまで関節リウマチにしか使用できなかった内服薬も新しくアトピー性皮膚炎に使用できるようになってきています。デュピクセント皮下注は15才以上しか使用ができませんが、12才から適応のある内服薬が登場しています。導入にあたってはデュピクセント皮下注よりも条件が厳しいため血液検査やレントゲン撮影などが必要ですが、当院でもJAK阻害薬の導入は可能です。

⑥ミチーガ®皮下注:2022年8月発売。2週に1回自分で注射しないといけないデュピクセントと違って4週毎の注射で済むのと、13歳から使用できるのは良いところです。しかし注射するのに手間と時間がかかります。新薬なので毎月通院する必要があります。

☆新薬は効果は抜群にありますが薬代が高く、まともに支払うと月数万円以上はかかります。高額の薬代の自己負担は軽減される制度がありますから、あらかじめ加入している健康保険に問い合わせて限度額認定証などを事前に入手しておくとよいと思います。(薬代は高いですが一般的収入だと1日あたり500円足らずで済むので、タバコ代や晩酌代よりは安いと思います)

☆皮膚病で死ぬ人はいないと思っている方も多いですが、アトピー性皮膚炎や長引く湿疹として治療していてあとから実は悪性リンパ腫だったという例はそれほど珍しくありません。若い人でも命を失う結果になってしまった例もあり、経過のよくない場合や強い治療を行う場合には、念のために皮膚を切り取って調べる検査を行うこともあります。

☆上記治療の前に、基本的に重要なのが保湿剤の塗布です。自分に塗るのも面倒ですが、子供に毎日数回塗るのは尚のこと大変ではありますが大事です。

では何を塗ったらよいのか?たいていの本には何を塗るかではなくしっかり継続することが大事と書かれています。私も値段、塗り心地などなるべく続けられそうなものを選ぶことが一番だと思っています。とはいえ比較するとどうなのか、確定しているわけではないので鵜呑みしてはいけませんが保湿能力とバリア機能回復の面で順位をつけるとしたら、セラミド配合クリーム>ヘパリン類似物質>尿素クリーム>グリセリンという感じの報告がいくつかあります。しかしセラミド配合クリーム(キュレル®やセタフィル®など)は保険適応の薬ではなく市販品あってしかもその中でもお高めなのですよね、、、。

cf.1)Treatment with Synthetic Pseudoceramide Improves Atopic Skin, Switching the Ceramide Profile to a Healthy Skin Phenotype. J Invest Dermatol. 2020 Sep;140(9) 2)秀 道広ほか;スキンケア 3)アトピー性皮膚炎に対する合成疑似セラミドクリームの有用性及び安全性の検討 ヘパリン類似物質含有軟膏との比較;西日本皮膚科 61(5)

 

☆アトピー性皮膚炎の方の多くはハウスダストやダニ、カビ等にアレルギーがあります。またダニの死骸や排泄物は肌に付着するだけで皮膚バリアーを破壊する作用もあるので、家にカビやホコリが溜まらないように掃除が重要になります。布団などは1平方メートル当たり20秒ほど掃除機で吸引する、ホコリが溜まる場所を減らすように部屋にものを置かないなどちゃんとやろうとするとかなり大変ではありますが、できる範囲で掃除をしましょう。詳しい内容は下記のウェブサイトを参照してください。

参考:東京都福祉保健局 東京都アレルギー情報navi. 室内環境対策 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/measure/indoor.html

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