メニュー

皮膚科的に(個人的に)あまり必要性を感じない内服抗生剤

[2021.11.26]

メイアクトMS(セフジトレン ピボキシル)、セフゾン(セフジニル)、フロモックス(セフカペン ピボキシル)など...です。

 主な理由は3つあります。
その① 内服してもだいたい腸から吸収されずに排泄されるだけだから。もちろん、薬の効果は腸からの吸収率だけで評価されるわけではありませんが。
その② 子供の副作用が怖いから。まれですが低血糖、痙攣、ひどい場合は脳症を起こすことがあると注意喚起されています。
その③ そもそも皮膚の感染症を起こす主な細菌に対して、そんなに強くない薬だから。(あくまでも皮膚病の菌に対しての評価ですので、副鼻腔炎や肺炎などに使う場合と同じにしないでくださいね)

 内服薬で治療する程度の普通の皮膚細菌感染症は、ざっくりまとめると主にブドウ球菌、連鎖球菌という種類のバイキンが悪さします。(ご存知の方もいるかもしれませんが、MRSAという薬が効きにくい菌もこの辺の仲間で皮膚に悪さしますが、別格の菌なので今回の話とは無関係です)。
 上記をまとめますと、ブドウ球菌と連鎖球菌に強く、腸から吸収されやすく、薬が皮膚に伝わりやすく、比較的安全な薬が皮膚科向きということになり、飲みやすさ等は度外視してケフレックス(セファレキシン)・L-ケフレックス(1日2回ですみます)やサワシリン+オーグメンチン(アモキシシリン+クラブラン酸)が一番適していると考えます。ケフレックス(セファレキシン)に近い薬でケフラール(セファクロル)がありますが、余計な菌までカバーしているのと、腸管吸収が劣るかもしれないのと、アナフィラキシー発生率が10倍くらい高いなどということがありケフレックス(セファレキシン)のほうに軍配を上げます。 *薬の味や服薬回数など飲みやすさについては考慮していません。


Cf.
1)忽那賢志“「だいたいウンコになる」抗菌薬にご用心!” .日経メディカル2015. https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/anursing/kutsuna/201512/545029.html
2) 学会トピック“「『だいたいウンコ』な経口第3世代セフェムは病院で採用すべきでない」のか?“.日経メディカル2019.https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/hotnews/int/201904/560401.html
3)大曲貴夫(編).抗菌薬について内心疑問に思っていることQ&A.2009
4)八木哲也(編).抗菌薬・抗微生物薬の選び方・使い方Q&A.2014
5)青木眞.レジデントのための感染症診療マニュアル第3版.2015
6)ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症に係る注意喚起. 日本小児科学会. 2019
7)永田理希.Phaseで見極める!小児と成人の上気道感染症

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME