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海で何かに刺されたら、温泉くらいのお湯で30分以上温めればよい

[2022.06.29]

①沖縄県のポスターなどでは海で刺してくる生物によって冷やす場合と温める場合に分けていますが、どっちだっけと迷うよりとりあえず温めればよいです。

②ハブクラゲなら酢をかけて30秒以上おいてから、(なるべく素手以外で)触手を取り除いてから温めましょう。他のクラゲなら海水で。水道水や小便をかけてはだめです。

③患部を42~45度(ちょい熱めの温泉のイメージです)のお湯に30分間または痛みが良くなるまで浸す。*温泉の温度は42度くらいを好む人が多いそうです。ちなみに50度のお湯だと3分でヤケドしかねません。

④ハブクラゲの場合は痕も残りやすいので強めの治療になります。早めに近くの救急でも受診した方が無難です。そうでない場合でもドラッグストアでなるべく強めのステロイド軟膏を買って塗りましょう(お店で買えるもののほとんどはとても弱いステロイド軟膏です)。

⑤海ではラッシュガードやレギンスなど着けましょう。薄くても予防効果はあります。

 

【追加の説明】

  • 沖縄県の危険生物対応を決定した当時のベテランの先生お二人ほどから話を伺ったことがあります。当時みんなで実証実験的なことまでして決めたそうですが、「まあそんなに気にするほどでもない(意訳)」とのことでした。とは言え温めるか冷やすかどちらの対応が正しくてどちらが間違っているというほどのものでもなく、諸外国の報告からはクラゲなどに刺されて冷やすよりも温めたほうがよかったという報告が少し多かったという感じです。例えばカツオノエボシに刺されて痛みが消失したのは温熱48%、冷却29%だったり、痛み止めを飲むより温水シャワーが効果的だったりとか(個人的経験では海から上がって入った温泉は効果的でした)。ちなみにハブクラゲの毒は40℃10分で溶血活性が低下するようです。

 

(文献5より)

 

  • クラゲ毒の強さ自体はアンドンクラゲ>ハブクラゲでそれほど強くないのですが、触手が長く、刺胞(毒針の格納庫)の数が多く、刺糸(毒針のこと)が長いため被害がひどくなると考えられています。特に子供の場合は身体も小さく皮膚も薄く、体表面積あたりの刺される面積が多くなりがちで命にかかわることもあります。もし子供にハブクラゲの触手が付いていたら命の危険があります。時間をかけて手袋などを探し回るくらいなら大人が素手でいいから早くとり除いた方がいいかもしれません。ハブクラゲの触手を素手で触って大丈夫かどうかですが、平気でつまみ上げる人もいます。刺糸の長さはミズクラゲ0.1mmくらい、ハブクラゲ0.3~0.6mmくらい、アンドンクラゲ0.1~1.6mmといろいろです。ハブクラゲの刺糸の長さは通常の皮膚の表層(角層+表皮)は貫通しますが、手のひらや足の裏は1mm前後と厚いので素手で触っても大丈夫、なこともあるでしょう。とは言え出来るだけ素手で触らないに越したことはありません。
  • クラゲ予防のクリームはいくつか販売されています。個人的には多少効く印象はありますが、全然効かないという人もいます。そんななか偉いことに愛媛県立長浜高等学校水族館部の生徒たちがカクレクマノミのイソギンチャクに刺されない仕組みを研究し、2014年にクマノミ粘液中のマグネシウムイオンが毒針の発射を防いでいることを発表しました。2021年には企業からクラゲ予防UVクリームとして商品化もされています。

 

 

Cf.

1) 上里博: 海洋危険生物による皮膚障害(Ⅰ).西日本皮膚科74:2012

2) Length Is Associated with Pain. Jellyfish with Painful Sting Have Longer Nematocyst Tubules than Harmless Jellyfish PLoS One. 2015

3) In vivo Estimation of Stratum Corneum Thickness from Water Concentration Profiles Obtained with Raman Spectroscopy. Acta Derm Venereol. 2007

4) Anatomical and histological study to determine the border of sole skin. Surg Radiol Anat. 2016

5) To Pee, or Not to Pee: A Review on Envenomation and Treatment in European Jellyfish Species. Mar. Drugs 14,2016

6) Is hot water immersion an effective treatment for marine envenomation?. Emerg Med J. 2006

7) Heated Debates: Hot-Water Immersion or Ice Packs as First Aid for Cnidarian Envenomations?. Toxins . 2016

8)温泉ソムリエ協会公式サイト.https://onsen-s.com/

9) 愛媛県立長浜高等学校水族館部:クラゲ行動メカニズムの探究 クラゲ予防クリームの開発とクラゲにおける学習の探究. https://www.jss.or.jp/fukyu/mentor/data/27_10.nagahama_slide.pdf

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