水いぼがあるお子さんでも、対策をすれば保育園でプールに入っていいじゃない
夏になると「水いぼを治さないと保育園でのプール遊びに参加させてもらえないので、治療して欲しい」と受診されるお子さんが多くいらっしゃいます。 しかし、子どもに痛い思いをさせてまで、急いで水いぼを治さなくてもいいのでは?という話です。
【プールの水ではうつらない】
「でも、治さないとプールで他の子にうつしてしまうのでは?」と心配されるかもしれません。実は、日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解や、厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」において、「水いぼはプールの水を介してはうつらない」と明記されています。 感染経路は、肌と肌の直接接触や、タオルの共用などによる「接触感染」です。したがって、ラッシュガードの着用や耐水性の絆創膏などで病変部を覆い、皮膚の露出を防ぐ対策をすれば、他のお子さんと一緒にプールに入って問題ありません。
【感染したとしてもほとんどが自然治癒する】
もし水いぼに感染し多発してくると、見た目が気になったり、赤く腫れて痛みやかゆみが出たりすることはあります。アトピー性皮膚炎など肌の弱い子は、さらに多発しやすくなります。しかし、基本的には数カ月から1年ほどで自然治癒する病気です。 ほかの病気などで極端に免疫力が低下した方で水いぼが重症化した報告がありますが、大きさや深さが通常よりひどくなる程度で、インフルエンザなどのように全身の状態を悪化させるようなものではありません。
【治療は痛くてつらい】
それでも、「感染しないに越したことはないので、治療してからプール遊びをしたほうがいいのではないか」と思われるかもしれません。もし水いぼの治療が子どもにとって辛いものでなければ、もちろん治療してよいとは思います。しかし、即効性のある水いぼ治療は、専用のピンセットでつまみ取る古典的な摘除術や、液体窒素による冷凍凝固、そして新しい塗り薬(ワイキャンス®)などがありますが、痛み止めシールを使ったとしてもどれもけっこうな痛みを伴います。 私も新しい塗り薬を自分自身に塗って試してみましたが、皮膚が剥がれてきてやはり痛いものでした。さらに新しい塗り薬は皮膚を溶かす作用があるため、周りに垂れないよう乾燥するまでじっとしていなければならず、小さなお子さんや、顔面への使用が難しいという難点もあります。
【※ご注意:水いぼとイボは違います。普通のイボは早めの治療を】
水いぼ(伝染性軟属腫:ポックスウイルスが原因)は自然治癒を待つことができますが、それよりも非常に厄介なのが「普通のイボ(尋常性疣贅:パピローマウイルスが原因)」です。子どもで魚の目かな?と思ったらだいたいはこのイボです。このイボは大きく多発して治りにくく、治療にも時間がかかります。疑わしいものを見つけた場合は、こちらは速やかに皮膚科を受診して治療を開始することをお勧めします。普通のイボは水いぼ以上に有効な治療法に乏しく、治療期間も長くつらいものになりがちです。こちらこそ早くよい治療薬ができることを願っています。
参考文献
- 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版) / 厚生労働省(こども家庭庁) https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f4120118-a862-4b8f-9fcb-4724ce2ca08b/bbdb7425/20231122_policies_hoiku_kansensho-guideline_21.pdf
- 学校感染症 第三種 その他の感染症:皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解 / 日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/news/G20160519_20130524_01.pdf
